うちの会社は、請負でのシステム開発を多く手がけています。お客さんから指示をもらって、システムを作るのですが、所謂下請けではなく、エンドユーザーと直接取り引きしていることがほとんどです。
その場合、お客さんはシステムについては、あまり詳しくないことが多いです。その為、具体的かつ明確な発注が来るというよりは、「こういうことがしたい」というような抽象的な発注が多いです。
従って、実際に開発する段階では、お客さんと一緒に話し合いながら、具体的にどういうものを作るのかを決めてゆきます。この仕事(仕様を決めてゆく)が一番難しくて大変です。
プロジェクトが成功する(お客さんが望むものができる)かどうかのほとんどは、この作業にかかっています。
成功の秘訣を一言で言うと、このときの顧客側の担当者と、弊社の担当者の関係です。これが、よくなければ失敗する可能性が高いです。
システムの専門家(弊社担当者)と、業務の専門家(発注者)が、お互いに尊重し合って、お互いのノウハウを出して、一緒に作り上げていくという意識がなければいけません。
「あなたはシステムの専門家なのだから自分で考えて作ってよ」という考えでお客さんがいると、絶対よいシステムは作れません。
お客さんにとって、うちの会社は「下請け業者」という立場と考えることもできますが、もし、その様に考えて、その様に接しているお客さんの場合、莫大な予算をつぎ込んでもらわない限りプロジェクトは失敗します。
優秀な技術者であればあるほど、パートナーとして対等に扱ってもらえなければ、充分な力を発揮しないからです。
私としても、うちのスタッフが理不尽な要求を受けたり、横柄に指示を受けたりしていると、腹が立つし、そんなお客さんとは付き合わなくてもよいと思います。そんなときは「社長を出せ!」と怒られてもよいので、ちゃんと主張しなさいと言います。
本当にそのお客さんが「社長を出せ!」と怒ったとしたら、待ってましたとばかりに出ていって、丁重に取引停止を告げてきたいと思います。
胸に手を当てて冷静に考えて、正しいと思えることであれば、一時的な不利益を被ろうとも、主張します。
もちろん、このような例は極端な例であるし、それは顧客企業の問題というよりも、担当者個人の人間性の問題であることが多いです。
そのような問題のある社員を抱えていることは会社にとってとてつもなく不利益であることを経営者は認識すべきだと思います。
私自身もそのことを十分に弁え、どんなにスキルや経験があっても、人間性に問題のある社員には、適切な処置がとれるようにしたいと思います。