Tax File Number制度と国民背番号制度

明後日3月15日は確定申告の提出期限です。私もセミナー講師をしたり、大学の講師をしたりと、(大した金額ではありませんが)会社の給料以外の収入があるので確定申告をしなければいけません。

早く済まさなければと思いながらも結局、ギリギリになってしまい、先週大あわてで申請書を作成しはじめ、先ほど完了しました。

ちなみに、オーストラリアはサラリーマンも含めて全員が確定申告をしなければいけません。オーストラリアで働くためには、まず最初にTax File Number(納税者番号)を取得しなければいけません。

就職するときには必ずTax File Numberを聞かれます。この番号は一生同じ番号です。結婚したり名前が変わっても同じ番号で管理されます。

日本で国民総背番号制度について、議論されていますが、そのときに、ときどきオーストラリアのTax File Number 制度は例に挙げられます。

オーストラリアのTax File Numberは、その名の通り税金についてのみ管理するための番号です。アメリカや北方諸国のような、社会保障、運転免許、住民登録、選挙人などを全て統合的に管理するものではなく、税金についてのみ管理する番号です。

オーストラリアでも、様々な社会制度のを統合的に管理する国民背番号制度について議論されましたが、結局、オーストラリア国民は、便利さよりもプライバシー保護を尊重し、国民背番号制度ではなくTax File Number制度を選択しました。

私自身は、全てを一元的に管理する国民背番号制度の導入に賛成です。日本では国民背番号制度導入して欲しいです。1枚のカードで免許証も保険証も納税者番号も選挙も管理できれば、とても便利です。落としたり盗まれたりしたときの対策を十分に検討する必要はありますが、それは技術的に可能だと思っています。 

確定申告書が完成して脳が脱力したときに、ふとTax File Numberについて頭に巡りまわりました。 

美濃焼の特徴1

しばらく、頻繁に美濃焼について書いてゆこうと思います。興味のない方、すみません。

 

先日、美濃焼を盛り上げるにはどうしたらよいか?というような会に出席したわけですが、そこで私が全面的に賛成というか「私も応援します!」と言えませんでした。

 

私は、普通の人よりかなり美濃焼を愛しているし、美濃焼がもっと世の中に認知されることを強く願っています。10年くらい前には経産省や文科省の予算を引っ張ってきて、美濃焼をもっと地元の子供達に理解してもらうための授業の企画を出し、実際に地元の中学校で3ヶ月間授業を行ったりもしました。

若手の陶芸家を支援するような活動もしてきました。

 

そんな中で、考えれば考えるほど、難しくて答えが出ないというのが、私の現在の結論です。もちろん、諦めるつもりはないし、統合的な戦略が見つからなくても、立ち止まらずに何らかの動きはしたいと思っているので、単発的なイベントの企画や活動はしています。

 

今回、「美濃焼を語る会」に参加して、改めて美濃焼全体の発展を考える機会になりました。いろいろ考えているのですが、結論というか答えは出ていません。・・・が、何をどう考えているのかを、ブログで書きながら、思考を進めてゆこうと思って、書いている次第です。

 

ということで、また、本題に入るまでの前置きだけになった感じですが、なぜ、私が「美濃焼全体の発展」が難しいと思っているのかは、美濃焼がなぜ発展して、全国最大の産地となり圧倒的なシェアを誇るようになったのかを説明するとわかりやすいです。

 

もともと、美濃地方では焼き物が作られていましたが、それはあくまでも伝統文化的なもので、そう言う意味での美濃焼は、織部とか黄瀬戸のようなものになります。これについては前回も書きました。

 

もともとは、この地域で良質で大量の原料(焼き物用の土)が採れたので焼き物を作っていました。それを全国を行商して売ってくる商人が売っていました。昔は今のような情報網が発達していなかったので、商人(商社)が売れる焼き物の情報を持ってきて、それを職人(メーカー)が、作りました。

 

たくさんの注文が入るようになり、たくさんの注文に対応できるような職人の数や技術の発展がありました。

たくさん注文しても、色々なものを注文しても対応できるのであれば、注文がまた集まります。

注文が集まることで、より産地の規模が大きくなり、人も集まり情報も集まり、さらに注文が集まるという流れで、美濃地方が日本最大の焼き物産地となったのです。

 

その為、美濃地方では、日本中の特徴的な焼き物(っぽい焼き物)を作ることもできるし、やってきました。つまり、有田焼っぽいもの、常滑焼きっぽいもの、備前焼っぽいものなどなど何でも。

そういう焼き物の産地で、ちゃんと作ると高くなってしまうものも、美濃地方では安く作ることができたので、そういう産地で売っている「安いおみやげ用の焼き物」は実は美濃産ということがよくあります。

 

美濃焼が、日本最大の焼き物産地であることが意外と知られていないのは、その為です。つまり、(産業としての)美濃焼の特徴がないからです。

他の多くの焼き物は、代表的な製品があります。常滑焼きで言えば赤い土の急須だとか、備前焼は釉薬を使わない土っぽいものなどあります。そう言う場合、美濃焼というのは、織部や黄瀬戸と紹介されますが、美濃地方で作られている焼き物で、織部や黄瀬戸なんていうのはきわめてマイナー(少量)です。産業全体で見たら本の一部なのです。

何度も繰り返しますが、現在の美濃焼の特徴は、

技法でも色でもデザインでもなく

何でも作れる日本最大の産地

ということになるのです。 

 

長くなったので、また明日(?)。なかなか前に進みませんが、思いが強くて熱すぎる証だと思ってやってください。

 

・・・つづく・・・

 

オーストラリアの免許証が切れる・・・

1995年にオーストラリアで運転免許証を取り、何度か更新してきましたが、今年の7月に有効期限が来ます。

それまでにオーストラリア(NSW州)に行って更新しなければ無効になってしまいます。

だからといって、最近の生活には何も影響しないのですが、オーストラリアで生活していた証というか、その頃の熱き思いを思い出すきっかけというか、実用よりも精神的なよりどころとして、更新したいと思っています。

仕事を絡めて行ける(現地で稼げる)ので、一人で安いチケットでゆけば、お金はほとんどかからず行けますが、時間が取れるかが問題です。

オーストラリアへは、新婚旅行で妻と二人で行き、Youが生まれたときにHannaと二人で行ったので、今度はYouと二人で行きたいとも思ったりしていますが、そうなるとちょっとお金もかかりますし、妻とHannaからブーイングがでるでしょうし・・・

でも、最近いろいろわかってきたYouが、「なんでお姉ちゃんだけ父ちゃんとオーストラリア行ったの?Youちゃんも行きたい」なんて言ってますし・・・

あと3ヶ月あるので、もう少し悩んでみます。

美濃焼の定義(私感)

美濃焼について語るとき、最初に大きく分けて2つの観点で考える必要があります。それは、地場産業としての美濃焼と、伝統工芸としての美濃焼です。

もちろん、それらが両方あることで美濃焼なのですが、そもそも美濃焼とは何か?という定義を考えると伝統工芸と地場産業では大きく違います。

伝統工芸として考えると、織部とか志野と呼ばれるようなものが、所謂美濃焼となりますが、産業としての美濃焼は、特長が無いのが特長です。日本最大の焼き物産地で、どんなものでもたくさん作れる技術や、設備や、材料や、人が集まっていて、生産力があります。たくさん作れるので安く作れるようになり、日本中の安い茶碗の大半が美濃地方で作られた美濃焼でした。産業としての美濃焼の特長は、形や素材や色などではなく「安い焼き物」なのです。

これは別に悪い意味だけではなく、安く良質なものを大量に生産できたからこそ、日本中に焼き物を広められたので、とてもすばらしい特長だったと思います。

しかし、時代は変わり、中国からとてつもなく安いものが入ってくるようになってきました。美濃焼メーカーが中国で生産するようになったのも原因ですが、それが自らの首を絞める形で、安さという特長を弱めてしまいました。さらに、生活スタイルも変わり、お茶はペットボトルで飲み、ご飯の代わりにハンバーガーを食べる機会も増え、日本の家庭で使われる日常雑器として使われる焼き物の絶対量が減ってきています。人口も減ってます。

「美濃地方で作られた安い焼き物」である美濃焼は、新しい定義で語られるように変えてゆかないと生き残れなくなってきていると思います。

・・・つづく・・・ 

美濃焼を語る会

本日、というかすでに日付が変わっているので昨晩、まなびパーク多治見で開催された「美濃焼を語る会」に参加しました。

美濃焼をJAPANブランドとなるようにする為の前段階として、いろいろ語りましょうというイベント(?)です。開催日の3日前からの告知という、超短期間での募集だったので、どれくらいの人が集まるのかと思っていたら、ものすごくたくさんの人が集まっていて、驚きました。

主催の「メイドインジャパンプロジェクト」の力なのか、来年の国際陶磁器フェスティバルの総合プロデューサーも務められる神谷デザイン事務所の神谷さんの魅力なのか、それとも美濃焼について危機感なり、熱い思いのある人たちが多いからなのか分かりませんが、とにかく想像以上の参加者でした。 

美濃焼をどうしたらよいのか、ということについては、私なりにも色々な意見があり、おいおい書いて行きたいと思いますが、とりあえず、昨日の会についての感想だけを簡単に書きます。

ディスカッションや、その後の交流会で話をしていて、意見に賛同できるかどうかは別としても、そんなに真剣に考えている人がいることに驚きました。10年くらい前に私が地場産業を教える授業を中学校で3ヶ月間やったり、美濃焼の紹介をするイベントやプロジェクトの企画をやっていた頃、地元の業界の人たちにも協力をお願いしたのですが、まったく保守的で何も考えていない人たちばかりでガッカリしました。しかし、今回の会で出る意見は、ちゃんと現状把握や将来的なことを考えている人もいるんだと認識しました。もちろん、何百(何千?)社とある、美濃焼に関わる業者の中での比率で言ったらとても少ないのかもしれません。でも、とてもうれしい希望です。

時代は変わっているので、数十年前と同じような繁栄は絶対ありません。もしかすると半分くらいの業者はこの先10年くらいで無くなるかもしれません。でも、ちゃんと考えているところは、残ってゆけるはずです。

何か偉そうな言い方になってしまいましたが、私自身は美濃焼関係者ではなく、単なる地元の美濃焼応援者です。一度は地元を離れ、外界から岐阜や東濃や多治見に魅力を知り、戻ってきて細々と応援している身です。

無責任ではありますが、地元の子供達が地元に魅力を感じられるように美濃焼業界にはもう少し頑張ってもらいたいです。