私のキャリアコンサルタントの仕事は、大きく分けて二つあります。セミナーで話をするのと、個別のカウンセリングです。
セミナーに関しては、準備に時間をかければかけるほど完成度は高くなるし、準備万端で望めば、大きな失敗はありません。
一方、カウンセリングは、相談者に会い、話を進める中で、最善の方法を考えないといけないので、準備があまりできません。
そもそも正解がないし、とても奥が深く興味深い仕事です。
ゴールとしては、本人が自ら答を見い出し、その答に納得し、満足し、その後の生活の満足度が高くなることです。”キャリア”カウンセリングなので、問題や答は「仕事」に関連しています。
もう少し具体的に言えば、その人が仕事に満足し前向きに取り組めるようになることを目指します。はじめて就職するにしても、すでに働いている人が現在の仕事をそのまま続けるにしても、転職するにしても、納得して、満足して、充実するための手助けをするのがキャリアコンサルタントの仕事です。 カウンセラーの価値観を教えたり押しつけるのではなく、あくまでも相談者本人が自らが考え方や行動を変えるのがカウンセリング(だと私は思っている)なので、とても時間が掛かる作業なのです。
ただ、実際のカウンセリングは多くの制約の中で行うので、これはうまくいった、と思える時ばかりではありません。
いつも「これでよかっただろうか?」と自問自答しています。ベテランのカウンセラーの人に聞いても、それは同じだと言われます。
カウンセリングでうまくゆく確率を上げるため一番良いのは、時間や回数の制限をなくすことです。
でも、残念ながら現実は、突然バックグラウンドを何も知らない人に対面し、30分くらいで全て完了し、2回目は無しという条件のことが多いです。プロフェッショナルとしては、そういう条件でも確率を上げてゆくことが必要ですが、簡単ではありません。
そんな中で、最近とてもうまくいった事例がありました。私自身もですし、相談者の満足度もとても高いく、これまでのキャリアカウンセリングの中では最高の結果です。
相談者は、30代の女性で、一人目の子どもが生まれたのを機に仕事を辞め、陶器の器や小物を作って売ったり、たまに週末アルバイトをしたりしていました。
下の子が今年小学校に上がり、将来のことを改めて考えるようになり、この先仕事をどうしてゆくのがよいか悩んでいました。
「仕事とは何なのか?」「この先どうしたいのか」「3年後」「5年後」「10年後」・・・、そこへつながるビジョン。
転機の乗り越え方、ライフロール、などを一緒に考えながら、相談者自身が結論を出せるように支援しました。
私自身の考え、キャリア理論での考え方、様々な事例なども紹介し、それを、自分なりに考えてもらい、さらに話し合いました。
その上で、今、目指すべき仕事、およびその仕事を含めた目指すべき生活スタイルなどを導きだし、最終的には具体的にどんな仕事を探すのか、どうやって探すのかという話や、具体的な求人情報などを提供するに至りました。
そして、見事、彼女は就職を決め、現在、毎日とても充実した生活を送っています。
(いわゆる)スマートで綺麗な仕事ではありません。クリエーターとしての仕事でもありません。結構な重労働です。そんなに給料が多いわけでもありません。
でも、現在の彼女にとってはとても幸せで満足度の高い仕事なのです。そして、毎日、元気に仕事に行き、家では楽しそうに仕事の話をします。
こういう就職支援が、高確率でできるようになったら私はきっとカリスマキャリアカウンセラーと呼ばれると思います。
残念ながら、現在の私のスキルではこれだけの好結果を確実に出すためには、10年以上一緒に生活し、常に話をしながら、価値観を共有し、目標を共有し、助けあいながら生き、ガッツリ信頼関係を築いた相手に限られます。