笠原のタイル業界

2006年に合併して多治見市になりましたが、旧土岐郡笠原町はタイルの産地です。

以前は日本のタイル生産量の9割を笠原で行っていたくらいのものすごい産地です。タイル産地であることは知っていても、こんなにシェアが高いと言うことは近隣の人もあまり知られていません。

 

笠原では、「身内にタイル関係の仕事をしている人がいない」という人を探す方が大変です。みんながタイルに関わっています。

 

そんな笠原に吹き荒れているのが、昨年からの世界的大不況の嵐です。

 

全国の9割近いシェアを持っていると言うことは、建設工事が減ってタイルの需要が減った影響も、ほとんどが笠原でかぶることになります。

 

もともと、タイル業界は大きな設備と投資の必要な業界で、ほとんどの会社が借金をして大きな設備を導入して経営をしています。

さらに、近年は万年不況というか、社会構造の変化によって、高度成長期やバブルの頃のような、設備さえ持っていれば儲かる時代ではなくなっています。「景気が悪い=元のように儲かる時期が来る」ではなくなっています。この状態が「普通」になっているのです。

そのことに気づいていないというか、気づきたくない会社は、ドンドン窮地に追い込まれて、やがて無くなるでしょう。資本主義の原理としては仕方がないことです。ただ、それによって大量の失業者が出るのは社会全体としては問題です。本来であれば、新しい産業が出てきて、旧産業からあふれ出た失業者を吸収しなければいけないのですが、そのような気配はありません。

日本全体が、新しい時代に移ろうとしている過渡期なのですが、それが特に顕著に見えているのが笠原町なのではないかと思います。資本主義の原理だけではない別の理由で、資本や雇用の再配分をするのは本来、政治のはずですが、それも期待できないのが、悲しいところです。

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