以前ドリームゲートのイベントで、起業を目指す若者達の前で、吉田雅紀さんが司会で、数名のベンチャー企業の社長たちとパネルディスカッションをしたことがあります。テーマは「好き飯」。好きなことで飯を食う、つまり、好きなことを仕事にするということです。
当時、私は全く会社の経営については勉強しておらず、好きなことを好きなようにやって、生活すればよいと思っていて、それが一番楽しい。・・・そういう主張をしました。
他のパネラーも、基本的には好きなことを仕事にするのは良いという意見でしたが「それでも大変だよ」というような主張が多かったです。その本意というのは、原則的には好きなことを仕事にするのだけど、個々の事業としては、自分の好きなことばかりするわけにはいかないということです。
パネラーの中には、その後会社を上場させたり、上場しないにしても大きく成長させた人が何人かいるのですが、それくらい、会社を組織だって大きくするためには、自分の好きなことをを好きなようにやっていてはダメで、市場の求めるものを、市場の求める形で提供する必要があるのです。
完全にビジネスと割り切って、ビジネスプランを考えて実行することに喜びを感じられる人が、経営者向きな人で、製品やサービスそのものが好きで、それに喜びを感じてしまう人は、あまり経営がうまくないことが多いです。
あのパネルディスカッションから5年以上が経ち、もし、今、また同じテーマで意見を言うことになれば、私は「好きなことを仕事にするのはよいが、経営者になるのであれば、どんな事業であれ『経営』が好きな人でないと大きな成長や長続きはしない」と言います。
もちろん、自分が好きな事業で起業をして、事業を拡大すると共に「経営」が好きになっていっても良いと思います。それか、事業をそれほど拡大せず、経営者としての仕事を一定以上に多くしないですむようにするか、または、信頼できる経営者を迎え入れる。それが、「好き飯」を一生続ける秘訣です。