先日、陶芸家の人たちと飲みながら話をしていて、成功って何だという話題が出ました。陶芸家にとって成功者というのは、どういうものなのか?
そのとき私が
「作品も見ずに、作者の名前だけで、相応の値段で作品が売れる状態というのは目指すべき所なのか?」
と言うようなことを聞きました。有名歌手の新アルバムが、全く情報が出なくても、発売前の予約が何万枚も入るのと同じような状態は、クリエータとして目指すべき所なのか?
それとも、ちゃんと音楽を聴いて「さすがは有名歌手、すごく言い曲だ」と思ってから買ってもらうのを目指すのか?
もちろん、程度の問題もありますが、極論としてどうなのかを訪ねると、意見は分かれました。やっぱり、作品を評価して欲しいという人と、自分という人間を評価(信頼)して買ってもらえるのもよいと言う人。
結論を先に言ってしまうと「本人が満足する方でよい」自分がどちらを目指すのか、どちらが心地よいのかで決めれば良くて、その決めた状態になっていれば成功している人である、ということです。これは皆さん納得してました。
ただ、物を評価してもらうのと、人を評価してもらうというのは、どちらが精神的に大変かというと、後者の方が圧倒的に大変です。つまり、物を見て評価してもらうのは、買った人が後からガッカリしたり、後悔することは多くありません。
逆に、人を評価して買った場合、買った後に初めて作品を見て「えっ?」ということになる場合があります。あの人の作品だからと思って買ったのに、意外と良くなかったとか、ガッカリした、という可能性もあります。
人を評価(信頼)して買ってもらう場合、その期待に応えなければいけないプレッシャーはとても大きいのです。期待に応えなければ、次回は信頼して買ってもらえません。
物を見て買ってもらう(高い評価をしてもらう)のは、直ぐにできる場合もあります。ものすごい良いものを作れば、それを見た瞬間に気に入ってもらって、買ってもらうこともあります。でも、人を見て買ってもらえるようになるには、時間がかかります。何度か作品を見たり買ったりしてもらいながら、時間をかけて得られるものです。しかも、信頼を失うのは一瞬です。
そう言う意味では、人を評価してもらって売れるようになるほうが、難しい目標だと私は思います。