先日、岐阜大学での講義で学生達に「若いうちはお金を捨ててでも貧乏になった方がよい」というようなことを言いました。
その一番の理由は、お金があると、何でも工夫しなくてもできるから、工夫したり頑張ったりする癖が付かないということです。私の場合、もしオーストラリアに渡ったときにお金があったら普通に英語学校に通ったでしょう。でも、お金がなかったおかげで、大学に言って日本語科の学生を探して、交換レッスンを申し込んだり、ボランティア団体に入って、その人達と話をしたり、ちょっと怪しい宗教団体に行って、雑談したり、いろいろ知恵を絞って英語を勉強できました。
しかし、貧乏のススメにはもう一つの理由があります。それは
贅沢な生活ができる
ということです。貧乏なのに贅沢な生活ってどういうことか?と思われるかも知れません。しかし、貧乏だからこそ贅沢ができるのです。
それは、こういうことです。
例えば、そこそこお金持ちの人が、いつも5000円のワインを飲んでいたとします。その人にとって5000円のワインは少しも贅沢品ではなく、当たり前のワインです。でも、普段1000円のワインしか飲めない人は、5000円のワインは、とても贅沢品だと感じます。
では、この二人が、自分の家以外で出されるワインで、贅沢を感じられる確率はどちらが高いでしょう?
貧乏な人です。
もちろん、お金持ちの人は、お金持ちの人たちとつきあうことが多いので、もっと高級なワインに出会うかも知れません。でも、どんどんお金持ち度が上がって、毎日何万円もするワインを飲むようになってしまうと、なかなかそれ以上のワインに出会う機会は減るでしょう。
一生貧乏生活がよいのかどうかは、個人の価値観もありますので、一概にはいえません。ホタルが飛んでくるボロ家を贅沢と感じる人と、東京の夜景を見渡せる高層マンションの部屋を贅沢と感じる人がいますから。
欲望と消費を押さえつつ、かつ、下品にならず、お金持ちになれれば理想です。これは、タダお金を稼ぐよりもずっとずっと難しいことです。
なので、やっぱり、若いうち(特に二十代)は貧乏が絶対良いです。体や頭が元気なうちは、体や頭で問題を解決してゆきましょう。
理想としては、体や頭が衰える頃に、多少のお金を持っている感じです。
目標は高く持っても良いです。目標を目指して、がんばれている時が、本当は一番幸せなのです。