美濃焼について語るとき、最初に大きく分けて2つの観点で考える必要があります。それは、地場産業としての美濃焼と、伝統工芸としての美濃焼です。
もちろん、それらが両方あることで美濃焼なのですが、そもそも美濃焼とは何か?という定義を考えると伝統工芸と地場産業では大きく違います。
伝統工芸として考えると、織部とか志野と呼ばれるようなものが、所謂美濃焼となりますが、産業としての美濃焼は、特長が無いのが特長です。日本最大の焼き物産地で、どんなものでもたくさん作れる技術や、設備や、材料や、人が集まっていて、生産力があります。たくさん作れるので安く作れるようになり、日本中の安い茶碗の大半が美濃地方で作られた美濃焼でした。産業としての美濃焼の特長は、形や素材や色などではなく「安い焼き物」なのです。
これは別に悪い意味だけではなく、安く良質なものを大量に生産できたからこそ、日本中に焼き物を広められたので、とてもすばらしい特長だったと思います。
しかし、時代は変わり、中国からとてつもなく安いものが入ってくるようになってきました。美濃焼メーカーが中国で生産するようになったのも原因ですが、それが自らの首を絞める形で、安さという特長を弱めてしまいました。さらに、生活スタイルも変わり、お茶はペットボトルで飲み、ご飯の代わりにハンバーガーを食べる機会も増え、日本の家庭で使われる日常雑器として使われる焼き物の絶対量が減ってきています。人口も減ってます。
「美濃地方で作られた安い焼き物」である美濃焼は、新しい定義で語られるように変えてゆかないと生き残れなくなってきていると思います。
・・・つづく・・・