確かに苦しい時期だったはずなのに、あまり苦しかったことを覚えていないのは、人間には「忘れる」という能力があるからです。
物忘れというと悪い意味で使われることがほとんどですが、忘れることができるから幸せになれることもよくあります。
Hannaが1歳になる直前から4歳になる直前まで、私が毎日保育園に送り迎えしていました。今通っている保育園と違って大きな保育園だったので、延長保育の子供達もたくさんいたのですが、その中でもHannaは長く保育園に滞在していたほうだと思います。私の出勤時間に合わせて、朝は7時過ぎに家を出て、8時前には到着していました。夕方は6時過ぎに迎えに行っていました。家に着くと7時くらいになってしまうので、それからあわてて夕食を食べて風呂に入れて、寝かすことを必死にこなしていました。
親たち以上にHannaもきつかったと思います。それを思うと親としては精神的にきつかったです。
でも、今思い出すと、漠然とした「辛かった」という記憶と、それ以上に楽しかった場面場面の記憶しか残っていません。夕方迎えに行くと、まだ歩くのが上手でないHannaが転がりながら満面の笑みで私の方へ向かってくる姿や、参観日などで見たHannaの姿など・・・。
辛いことは忘れ、楽しかったことだけを覚えているというのは、私の能力の中で一番優れている能力です。
おめでたいと言われるかもしれませんが、とにかく私には楽しい記憶だけが残り、楽しい人生が送れるようになっているようです。