目指すべきところ

未だに、東北地方ではものすごく沢山の方が、極限の状態で耐えておられる状況なので、まずは、それを何とか少しでも改善すべく、日本中が協力しなければいけない時期だと思います。

ただ、少しずつ将来のことも考えてゆかなくてはいけません。

今回の大震災は、間違いなく日本の国にとっての大きな危機です。恐らく50年、100年経った後には、歴史の教科書に大きく書かれていることでしょう。第二次世界大戦の敗戦くらいのインパクトのある歴史的事件かもしれません。

それを考えたとき、日本の国のあり方というか、国民の考え方が大きく変わるきっかけとなる事件となるかもしれません。

第二次世界大戦の敗戦後は、とにかく国民すべてが貧しさを脱するために、一生懸命働き、その後の高度経済成長期を経て、世界有数の経済大国となりました。

その後、バブルの崩壊や失われた10年とか、失われた20年と呼ばれる時期を経て、経済的にも中国にGDPで抜かれ、失業率も高止まりしている21世紀初頭に、新たな大転換を迎えることになると思います。

今回の地震と津波で、原子力発電所がとんでもないことになりました。何年かしないと詳しい分析はできないでしょうが、世界で一番安全性が高い日本の原子力発電所ですら、想定外の大災害によっては致命的な問題に発展しかねないということは間違いないと思います。

今後は、今までのような生活をし続ける、もしくは、今まで多くの人が考えている「豊な生活」を目指していくことは不可能です。 

終戦後、みんなが目指していた「より豊な生活」というのは、エネルギーの大量消費をしなければならず、現時点でそれは「電気」です。電気がないとどんなに困るのかは、今回の計画停電でよくわかりました。

しかし、これだけの事故が起きた後では、原子力発電所を増設することはもちろん、現在稼働中の原子力発電所すら減らす方向の世論が広がるでしょう。

仮に原子力発電所を使い続けるにしても、今回の事故を踏まえて1000年に一度の地震や、もっと確率の低い事故(大きめの隕石の直撃など)も想定して、安全性を高めなければいけないという世論が出るのは間違いありません。

それは何を意味するかというと、電気料金の値上げです。原子力発電は、現状では最もコストの低い発電ですが、それが使えなくなれば、電気料金は上がります。

コストだけの問題ではありません。火力発電所は放射能は発生しませんが、CO2を発生します。CO2によって気候変動が起きると、何百年後には地球全体で何億人も死ぬきっかけとなるかもしれません。 

電気やエネルギーを大量に消費する社会自体の広がりが、地球的な限界にきているのではないかと思います。

今以上の、エネルギーを使わない社会、効率を求めない社会、便利さを求めない社会が、もしかすると地球を救う社会のあり方なのではないかと思います。

でも、それは決して「幸福」を求めない社会ではありません。これまでは、経済的発展や、社会全体で効率を高めて便利な社会になることが「幸福」だと考えていたから、経済発展がなければ幸福にもならないと思っていました。

しかし、そもそもの「幸福」というのは、もう少し多様性があってしかるべきだと思います。自分にとっての「幸福」とは何かを、日本人それぞれが改めて考えなおして、幸福な社会を目指してゆくべきだと思います。

それぞれの人が、少しだけ考え方を変えるだけで、日本は新しい「幸福を目指す国」に変わってゆけると思います。

物流効率がよくなったおかげで、山地の街でも美味しいマグロの寿司が100円で食べられるようになりました。

もし、それがなくなったときに不幸と考えるのではなく、我が家で地元の野菜だけで、家族で一緒に調理をして食べることを、幸せと考えられるかの問題です。 

電力消費の緊急的な節約を余儀なくされている今、よく考えるチャンスかも知れません。 

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