ソリューションマーケティングの喩えで「お客さんが求めているのはドリルではなくて、穴である」というのがあります。でも、私が人生で求めているのは穴ではなくて、ドリルなのです。ドリルの使い方を覚えることだったり、構造を理解して修理することだったり、使い方を練習することなのです。
もちろん、穴をあけるという目標を持っていますが、その過程だけでも十分意味があるのです。最終的に穴があけられるかどうかは、それほど重要ではありません。
「玄関に表札を取り付けるために穴をあける」という目標があったとします。
ドリルを買うために一生懸命お金を貯めて、一生懸命使い方を勉強し、一生懸命練習をすることで、目標は半分達成しているのです。もしかすると、その間に、接着剤という表札を取り付ける方法を見つけるかもしれません。引っ越してしまうかもしれません。それでもよいのです。
その瞬間瞬間で、自分の知識や体力を目一杯使って努力をしていれば、まず悔いはのこりません。
しかも、ドリルの使い方に関する知識と、練習でいろいろなものに穴をあけた楽しい思い出があれば、それだけでも十分だと思います。
勝ち組、負け組という言われ方をするようになって久しいですが、いわゆる勝ち組というのは「穴をあけた人」なのです。では、穴をあけられなかったからと言って「負け」なのか? そんなことはないと思います。親に買ってもらった高性能ドリルで穴をあけた人よりも、どこかで拾った壊れたドリルを修理して頑張ったけど最終的に穴はあけられなかった、そんな人の方がよほど価値のあることを成し遂げていると思います。
更に言えば、その努力を、苦しい辛いと思いながらするのではなくて、楽しい嬉しいと思いながらやれるのであれば、最高です。