言わなければ始まらない

オーストラリアで生活する中で身についた技(?)なのですが、何か要望があるときは、とりあえず「言ってみる」というのがあります。
多くの場合、それで、要望が通ることがあります。もちろん、強く言いすぎるとクレーマーとかタチの悪い客ということになるので、あくまでも「可能ならお願いしたいのだけど・・・」という姿勢かつ丁寧な言葉で言うのがポイントです。

言ってみると何とかなる一番顕著な例は、飛行機です。早めにチェックインカウンターに並んで、(激安ディスカウントチケットを持っていても)とりあえず「ビジネスクラスのシートにならないでしょうか?」と相談してみます。エコノミークラスがほぼ満席で、ビジネスクラスには余裕があるような場合、ほぼビジネスクラスにしてもらえます。ビジネスクラスがダメでも、「各ブロックの一番前(離着陸時に客室乗務員と向かい合わに座るところ)の席」とか頼んでみます。空いていればたいていOKです。

 

10年くらい前の2月にオーストラリアから、Tシャツ短パンで、某航空会社の飛行機に乗って、某国の空港で乗り継ぎで待っているときに、ふと、日本の季節を思い出しました。真夏のオーストラリアの格好で、真冬の空港へ降りるのは、かなり恥ずかしいということを思い出したのでした。そのときも、ダメだろうなと思いながらも、一応空港のスタッフに頼んでみました。「こんな格好で真冬の日本に行ったら凍えてしまうから、荷物から上着を出させてくれないか」と。

最初は、ダメそうな感じだったのですが、今回だけ特別だよ、と言われて、一緒においでと言われました。
私はてっきり、私の荷物を持ってきてくれるのかと思ったら、トランジットの荷物を積み替えている場所に連れて行かれました。シドニーから来て、名古屋に行く便の荷物を、空港職員が積み込んでいるところへです!! それで自分で探して、必要な荷物を出しなさいと言うのです。この国にはセキュリティという言葉はないのかと驚きましたが、とにかく無事上着取り出すことができ、雪の降る名古屋にTシャツで降りずにすみました。

さすがに、荷物室に連れて行ってもらえたのはむちゃくちゃですが、展示会の招待状を忘れてきたとき、切符を無くしたときなど、すべて頼み込んで、許してもらえました。

黙っていても察してくれるというのは日本語と日本の文化のわかる人だけに通じる常識で、欧米では特に「言わない」ということは「思っていない」ことと認識されるので、言わないと何も始まりません。
ただし、前述したとおり、「タチの悪い客」にならないために、あくまでも低姿勢で、かつ相手が困らない内容の要求にとどめておくのが、重要です。

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