オーストラリアでは、最初の頃、高級クラブでアルバイトをしていたので、いろいろなお金持ちの人に出会うことができました。
会社の経営者、大手企業の重役、元銀座のクラブのママ、などさまざまですが、ダントツお金持ちだった(と思われる)のは、ある香港人の友達です。
友達と呼んでよいのか分かりませんが、家に遊びに行ったり、一緒に食事をするくらいの関係でした。
貿易会社を営む2代目経営者だったのですが、本当に典型的なお金持ち坊ちゃんという感じでした。最初であった頃は、リビングが40畳くらいあり、ベッドルームが5個以上ある大きな家に住んでいました。それも何故か一人で。かなりの寂しがり屋なので、いつも人を呼んでパーティーを開いていました。
独りで住むのなら、もっと小さな家に住めばよいのにと思っていたら、「引っ越しをする」という 連絡が入りました。やっぱり小さい家にするのかと思ったら「シドニーで一番大きな家だ」と言うのです。
けっこう大げさに言う人なので、シドニーで1番というのは信じませんでしたが、少なくともそれまでよりも大きな家に引っ越すと知って、驚きました。お金持ちの感覚は理解できないと思いました。
引っ越しの日が近づいたある日、
「明日暇だったら、新しい家の窓を開けるから手伝って」
と連絡がありました。私の英語力不足か、相手の英語力不足のどちらかだろうと思って聞き直したのですが、やっぱり、「窓を開けるのを手伝え」と言っているのです。
とりあえず、長いベンツ(本人が運転)で迎えに来てもらって、新しい家に連れてゆかれて、ぶったまげました。
シドニーで1番大きいというのも、あながち嘘ではないと思われる大邸宅です。
テニスコートが4面、プール2個ありました。
建物も巨大で、部屋がいくつあるのかわかりません。確かにこの家なら、窓を開けて、空気の入れ換えをするのも、3人でなら半日以上かかりそう(実際にかかりました)。
かなり、理解に苦しむ人でした。
1.大邸宅に一人暮らし(家政婦などもいないと思われる)。
2.普段利用しているのは長いベンツ、なのに自分で運転。
3.料理が上手で、かなりデカイ魚も手際よく調理していました。
なぜ、こんな巨大な家を買ったのか、しかも、窓あけの手伝いをなぜ私に依頼するのか、他に友達がいないのか?
もしかして、どこかの国の諜報部員で、私は何かに利用された?(笑)
本当に不思議な人でした。