先週末、ソフトバンクの番号ポータビリティ制度のシステムに問題があって、システムが停止していました。
新しいサービス開始直後の問題で、しかもサービス停止という致命的な問題が出て恐らく社内は大混乱だったと思います。
ショップの窓口の人たちから、記者会見をした孫社長まで、かなり腹を立てていたのではないかと思います。システム開発部門に。
ただ、同じシステム開発を行っている者として、(原因はどうであれ現在の状況を想像して)システム開発部門の現場の人たちには同情します。
おそらく先週末から今週末までは、皆さん不眠不休で対応しているのではないでしょうか?社長をはじめ、上の人からは散々怒られ、技術者のプライドを踏みにじられ、そんな中で必死に修正やテストをしているのでしょう。
不眠不休で、超短期的に対応したシステムというのは、当然ながら充分なテストも行えないので、また別の問題を含んでいる可能性があります。それでも、また問題が出ようものなら、システム開発部門は非難囂々浴びるでしょう。
本当に同情します・・・
最近のシステムはとても複雑で巨大です。それをいじるには、相当な時間が必要です。結果的に修正する量は少ないとしても、充分な検討の時間をかける必要があるのです。
この業界の市場のニーズは、とにかく「早く!早く!出せ!」です。10年前では考えられないような納期でプロジェクトは進んでいきます。
「そんな納期だとテストが充分に行えません」
「それでもいいから納品してよ」
と、言われて、 納品後に問題が出て、責任を取るのは開発会社(部門)です。
昔よりも開発ツールは発達して、開発のスタイルも研究されてきています。しかし、それと同時にシステムは巨大化し、複雑化しているので、一概に開発を早くできるようにすることにはつながりません。
この傾向は、発注者にとっても開発者にとっても危険な兆候です。
どんなに優秀は技術者や開発会社であっても、無理な納期で納品すれば、重大な問題を含んでいて責任を取らされる可能性があります。
そうして、その優秀な技術者や会社が活躍の場を失ってゆくことにもつながります。優秀な技術者や会社が活躍できなければ、業界全体のレベル向上も遅れます。
もちろん、携帯向けのソフトを3年もかかって開発していたら、そのソフトが出る頃には、その携帯は販売終了しているでしょう。
結局、ギリギリのところで綱渡り的に開発をして、運良く綱を渡りきった人が生き残った人となるのかもしれません。
それでは、他に生き残る道はないのかというとそうではないと思います。他社では作れないものを作る、道です。
私としては、そちらの道を歩きたいと思います。