意識とはなにか―「私」を生成する脳(茂木 健一郎)

私の最も好きな映画は、「2001年宇宙の旅」です。

中学生のとき初めてビデオを借りて見て、衝撃を受けました。最初は意味が分からなかったのですが、とにかく衝撃でした。

その後、原作者のアーサー・C・クラークの本を読んだり、解説本や関連する映像を見たりしながら、自分なりに理解を深めてゆきました。オーストラリアにいた頃に、ある映画館でリバイバル上映をすることを知り、仕事を休んで見に行ったこともあります。

 

 映像という意味でもすばらしいのですが、私が衝撃を受け、感動し、ある種の恐怖感を覚えたのは映画で表現されている、「意識」という概念についてです。2001年宇宙の旅では、それはモノリスとして表現されており、続編の2010年ではより、深くそれが表現されています。

「意識」とは何か? なぜ意識が存在するのか、そう言うことを考え出すと思考はどこまでも続き、怖くて眠れなくなるほどでした。

 

 私自身は無宗教で、神様のような科学的に証明できないものはほとんど信じておりません。ただし、「意識」については、科学よりもより宗教・哲学的な発想で、自分なりに理解しようとしているところがあります。もしかしたら1032年後に陽子崩壊がおき、何もない世界が来たとしても「意識」というのは存在できるかもしれないと思っています。

 

 意識についての特別な感覚を、著者の茂木健一郎氏も小学校の頃から持っていたということをこの本で知り、ちょっと嬉しかったです。著者の思い出として、小学校5年生のとき、学校から帰宅し「ただいま」と言った瞬間に、その「ただいま」の意味を考え込んでしまい、ある種の恐怖感も覚えたという話が出てきます。

 私の場合は、同じような感覚をはじめて2001年宇宙の旅を見たときに覚えたのだと思います。

 

 肝心の、本の中身としては、医学書的な哲学書という感じで、明確な答え(結論)のようなものは無いのですが、茂木健一郎氏が何を研究していて、なぜその様な研究をしているのか、というようなことが分かります。


 

 

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