選挙についての小説であり、リストラされそうなサラリーマンの小説です。
普通のサラリーマンの経験が3年しかない(3年しかもたなかった)私には、理解(我慢)ができない感覚で行動している中堅ゼネコンの主人公は、僻地への転勤や、選挙の応援に行かされたり・・・。そんなことをしているうちに、妻との関係や子供達との関係も悪くなり、それでも必死に会社にしがみつこうとしています。妻や子供達に必死にしがみつこうとして生きているのです。
全てに捨てられる可哀想な主人公なのか・・・と思っていたら、最後には会社からも妻からも、すがりつかれ、それを自分から捨てる。
子供達も(実は最初から)妻よりも主人公の味方であったことがわかり、やりたい仕事を見つけて、意気揚々としたところで話が終わります。
でも、安っぽい小説ではないので、宝くじが当たったとか、もの凄い能力を身につけたとか、そういうことではなくて、基本的には本人の考え方が変わっただけなのです。周りの状況は全く変わらなくても、考え方を変えるだけで、人は幸せになれるのです。
私には、どうにも気分がスッキリしないと言うか、主人公の行動や考え方にイライラしながら、読み進んだのですが、最後の20ページくらいで、一気に壮快で気分よく読み終えることができました。