バラエティー番組では、ちょっとおバカなキャラクターでみんなを笑わせている長嶋一茂の自伝的な本です。私も最近まで、長嶋一茂はそう言う人なのかと思っていたし、あまり興味を抱かない人でした(すみません)。
それが変わったのは、長嶋一茂の父、長嶋茂雄が倒れたときの記者会見です。バラエティ番組で見せる顔とは全く違い、話している内容も非常にしっかりしており、この人はただのボンボン2世ではないと思いました。
それで、先日この本を見つけて、読み始めました。読み始めたら、あまりのおもしろさに、読むのが止められず一気に読んでしまいました。
長嶋一茂というと、国民的ヒーローの子供として生まれ、苦労らしい苦労もせずに、親の七光りでプロ野球選手になり、パッとしない成績しか残せず引退した・・・と思っている人も多いのではないでしょうか?
でも、実際は人知れず猛烈に練習し、練習のしすぎから痛めた肘の痛みが限界を超え、痛み止めの注射の打ちすぎで肝臓まで痛め、精神的にも破綻寸前で、ノイローゼ、過呼吸症、自律神経失調症などは現在(本が書かれた頃)も治っていないという人なのです。
一番つらいのは、そういうところ(努力していること、体を痛めていること、精神的につらいこと)を人に見せられない(見せたくない)人で、あるところです。
自称世界一の長嶋茂雄ファンで、誰よりも長嶋茂雄にあこがれていた、長嶋一茂は大人になってからも、父親にあこがれ続けたために、世間が父親並みのスーパーヒーローを期待することがわかっていても、同じ世界に飛び込み、やっぱり、父親に近づけない現実にうちひしがれ、最後にとうとう、それをあきらめなければいけない状況になったときのショックは相当なものだったと思います。しかも、それを宣告したのは当時の巨人軍監督長嶋茂雄だったのは運命だったのだろうか。
とにかくおもしろい本でした。
ちなみにこの本は長嶋一茂氏のインタビューをノンフィクションライターの石川拓治氏が構成したものです。
三流 | |
長嶋 一茂
幻冬舎 2001-05 |