これまで新聞やテレビからの情報だけで、想像していたイラクの様子とはずいぶん違うイラクの状況が書かれた本です。
私は、アメリカ軍の侵攻が始まる前から、治安は悪く、戦争が終わってからそれがドンドンひどくなって、現在に至っていると思っていました。 でも、実際は戦争直後まではかなり治安はよかったようです。
驚いたのは、戦争直前や直後にも、日本からツアーが組まれて旅行をしている人たちがいるということです。もちろん、外務省からはもの凄く警告が出ていたらしいのですが、強制力はないので、そのまま行ったらしいです。無謀と言えば無謀だし、批判する人も多いでしょうが、実際、当時は安全だったそうです。企画者曰く、よっぽどニューヨークの方が危険だったそうです。
その後、NPOの人たちが拘束されて大ニュースになり、もの凄い批判が出たのですが、その当時でも現地にいる日本人の人たちや、現地に詳しい人たちは楽観視していたそうです。当時は、今の状況とは全く違って、イラク人の武装勢力が、アメリカ軍に対抗しており、イラク人は日本人に非常によい感情を抱いていたし、拘束された人たちもイラクのために活動していた人たちであることはイラク人にも理解されていたため、たぶん大丈夫だろう、と見られていたそうです。
ただし、その後状況は急激に悪化し、現在はめちゃくちゃな状況で、外国から来たテロリスト達が大量に入ってきて、内戦状態になっており、とても治安が悪くなっているのだそうです。
私の勉強不足だけなのかもしれませんが、これまでの私のイラクに対する知識がかなり偏ったものであったことがよくわかりました。現状のイラク情勢を理解する上で、とても役に立つ本だと思います。
なぜ日本人はイラクに行くのか | |
吉岡 逸夫
平凡社 2005-03 |