日本に10人以下しか残っていない「木挽き」という職人さんのインタビューを元に書かれた本です。木挽きとは、
大鋸(おが)という道具ひとつで、銘木と呼ばれる大きな木を切って、柱を作ったり、板を作ったりする人です。ちなみに大鋸屑(おがくず)とは、もともと大鋸から出るくずのことを言います。
木挽きの仕事や、どのように木を取り扱っているのかなどが書かれています。銘木と呼ばれる1本数千万円もするような木を、扱う職人さんが、どんなにスゴイ能力があって、柱などを作りだしてゆくのかや、木がどのように育って銘木になってゆくのかなども書かれています。
日本で建材に使用する木の種類や産地毎の特徴や、見分け方、よりよい使い方なども書かれています。
印象に残ったのは、木挽きは、何百年も生きていた木を切って、その命を奪うのではなく、そのままにしておくと朽ちてしまう木を、切って第二の人生(木生?)を始められるようにしているのだというところでした。この本を読むまでは、木を切ると言うことは、その時点で木の命を奪うということだと思っていました。しかし、実際は正しく切って、正しく加工して、正しく使用すれば、そのまま自然に残しておくよりも長く(生き)残ることも少なくないのだそうです。
また、木のことだけに限らず、いろいろなところに「昔はよかった」「昔の人はよく頑張っていた」「近頃の若い者は・・・」というようなことが書かれており、少し耳が痛い気もしました。木挽きの世界では50歳くらいでも若手だそうで、そう言う意味では私など子供です。
私もいつかは、よい木をたくさん使った家を建てたいとも思いました。
「家を建てるなら、建てる場所の近くで育った木がよい」
というのは考えてみれば至極当然のことです。その地の気候の中で育った気を使って家を建てれば一番よいということです。
残念なのは、最近はそうやって家を建てるのには、とてもお金がかかってしまうことです。