自称携帯電話好き(マニアと呼ぶほど自信がないので)としては、携帯電話の仕組みについても押さえておく必要があると思って読みました。
W-CDMAというNTT DoCoMoと、ソフトバンクが採用している通信方式の解説が、かなり細かいところまで説明されています。
この本の内容を1行で説明すると、
携帯電話というのはものすご〜く高度な技術がものすご〜くたくさん詰め込まれているものすごいものである
だと思います。
とにかくすごいと思いました。
どこに移動するかもわからず、人体に影響しないようにできるだけ弱い電波で、しかも、電池を長持ちさせるためにできる限り電気を使わず、複数の基地局からの電波が交錯する中で、話ができるのは本当に奇跡的です。
普通の時間の感覚で考えると、なかなか想像が難しいのですが、数千分の一秒のタイミングで、電波を送信したり、電気を切って電力を節約したり、しかも、高層ビルなどで反射してくる電波は、直接届く電波よりも数千分の一秒単位で遅れてきたり・・・
そういう電波をデジタル処理をするのですが、そのあたりは私がとても興味があって、おもしろいと感じた部分です。直交コードとかスクランブリングコードを、論理積とったり、論理和をとったり・・・というのが、たまりません(笑)。
ちなみに、20年くらい前に私がコンピュータに興味を持ったきっかけは、二進数の計算を勉強したときです。コンピュータの計算はすべて足し算だけで行われているのですが、それがものすごく手品のようで、感動したのです。
そのときと同じような感覚がこの本を読んでいるときにもありました。直交コードを使って、混ざった信号から、元の信号を取り出す仕組みは、非常に論理的でありながらも手品のように見えます。
全体的には、非常に興味深く読み進めたのですが、部分的にはよく理解できないところもありました。
文章は一般向けの普通の文章なのですが、書かれている内容はかなり専門的なので、違和感を覚えることもありましたが、これだけ難しいことを簡単に書くのはこれくらいが限界なのかもしれません。
そんなものに興味のある人がどれくらいいるのかはわかりませんが、二進数のマジック(?)が楽しいと思える人には、お薦めの本ではあります。