昨日、移動中にNHKラジオを聞いていたら「不具合」という言葉の解説をしていました。
私も仕事でよく使う言葉です。
「これはソフトの不具合ではなくてハードの問題です」
「ソフトの不具合については、無償で対応いたします」
当たり前のように使っていますが、どうもこの言葉はつい最近までほとんど使われていなかったようです。言葉自体は江戸時代からあるそうなのですが、1990年代前半までは、世の中でもほとんど使われていなかったそうなのです。言われてみればそうかもしれません。私が仕事を始めた頃にはあまり使っていなかったような気がします。不具合の代わりに、「障害」や「欠陥」などを使っていました。
しかし、それが1994年頃から急速に「不具合」を多用(大手新聞の記事に登場する回数が倍増)するようになったのです。
理由は、PL法です。
PL法は、製造物に関する製造者の責任を問う法律です。これができたおかげで、明確な不備でなくても、早めに対応するようになってきました(後で責任を問われないためにも)。
「欠陥」だと明らかに製造者の責任がある問題ですが、「不具合」というと少しその意味合いが薄れて、もしかすると、不可抗力によって発生した問題化もしれない、というニュアンスを含んでいるようで、使われてきたのだそうです。
しかし、私自身は責任という観点からは「不具合」という言葉は「欠陥」とほぼ同等の意味で使用しています。責任を逃れようという意味ではなくて、原因はともかく、とにかく正常ではない場合に「不具合」を使って来ましたし、使っています。
それが一般の人にとって「責任逃れのために紛らわしい言葉に置き換えている」と判断されるのであれば、考え物です。
業界内では皆が正しく理解できる言葉も、一般的には別の意味でとらえられる可能性がある言葉というのは、他にもよくありますが、十分注意しないといけないですね。