久しぶりに読んだ宇宙物の本です。
恐るべき旅路 新版―火星探査機「のぞみ」のたどった12年 | |
松浦 晋也
朝日新聞社出版局 2007-10 おすすめ平均 |
1998年に打ち上げられた火星探査機「のぞみ」が、2003年に機能を停止するまでの、長く苦しい道のりが書かれた本です。
私は、子供の頃から宇宙についてとても興味があり、宇宙のことを研究して生活ができたらいいなぁと考えていた時期もありました。
この本では、実際に宇宙のことを研究している人たちが、どんなに苦労をして「のぞみ」を開発し、打ち上げたのか。
予算や開発団体間の軋轢など、どんな問題があって、それが積み重なってこの火星探査プロジェクトが失敗したのか。ということが、細かく書かれています。
自分が興味があることであるせいか、あっという間に読んでしまいました。
見ることも触ることもできない遥か遠くにある探査機が、次から次へとトラブルを起こすのに対して、最後まであきらめずに、ありとあらゆる手を使って、頑張った事実を初めて知ることができました。探査機が火星近くまで行っただけでもホント偉業だと思います。
ちなみに、その開発の中心地が、神奈川県相模原市にあって、私はそこへ歩いていける場所に住んでいたことも、この本で初めて知りました。
今後数億年は火星とほぼ同じ軌道で太陽の周りを回ると予想される「のぞみ」をぜひいつか、回収して、実際に何が起きていたのかを検証したり、データを地球に送ることができずに、レコーダに溜め込んだだけの画像データを見たりできたらおもしろいと思います。
それで、当時の日本の研究者たちがどんなに頑張ったのかが証明できたら、苦労した人たちも報われると思います。